Swift開発といえばXcodeが定番ですが、最近は高機能なコードエディタのCursorを使って開発したいと思う人も多いのではないでしょうか。
僕も実際にCursorでSwiftコードを書いてみたくて調べてみたところ、VSCodeのマーケットプレイスには公式のSwift拡張があるのに、Cursorでは見当たらないという問題に直面しました。
そこで、vscode-swift公式リポジトリのCONTRIBUTING.mdのドキュメントに沿って手動でインストールしてみることにしました。
CursorとVSCodeの拡張マーケットプレイスの違い
まず理解しておきたいのが、CursorとVSCodeの拡張システムの違いです。
VSCodeの場合
- Microsoft公式のVisual Studio Code Marketplaceから拡張をインストール
- Swift拡張は「Swift」で検索すると簡単に見つかる
- ワンクリックでインストール可能
Cursorの場合
- 基本的にはVSCodeと同じ拡張を使用可能
- ただし、一部の拡張がマーケットプレイスに表示されない場合がある
- 特に開発版やプレリリース版の拡張は手動インストールが必要
この違いが、僕がSwift拡張を見つけられなかった理由でした。
Swift拡張の手動インストール手順
公式ドキュメントに従って、実際の手順を詳しく解説します。
1. Node.jsとnpmの準備
まず、拡張をビルドするためにNode.jsとnpmが必要です。
# Node.jsがインストールされているか確認
node --version
npm --version
もしインストールされていない場合は、Node.js公式サイトからダウンロードしてインストールしてください。
2. リポジトリのクローン
次に、vscode-swiftのリポジトリをローカルにクローンします。
# リポジトリをクローン
git clone https://github.com/swiftlang/vscode-swift.git
cd vscode-swift
3. 依存関係のインストール
プロジェクトの依存関係をインストールします。
# 依存関係をインストール
npm install
4. 拡張のビルド
拡張をビルドしてVSIXファイルを生成します。
# 拡張をビルド
npm run package
このコマンドを実行すると、プロジェクトのルートディレクトリに.vsix
ファイルが生成されます。
5. Cursorへの拡張インストール
生成された.vsix
ファイルをCursorにインストールします。
コマンドラインからのインストール
# VSIXファイルをインストール
cursor --install-extension swift-*.vsix
GUI からのインストール
- Cursorを開く
- 拡張機能パネル(Cmd/Ctrl + Shift + X)を開く
- 右上の「…」メニューをクリック
- 「VSIXからインストール」を選択
- 生成された
.vsix
ファイルを選択
6. インストールの確認
インストールが完了したら、以下を確認してください:
- 拡張機能一覧にSwift拡張が表示される
.swift
ファイルでシンタックスハイライトが有効になる- コード補完が動作する
- エラー表示が機能する
XcodeとCursor+Swift拡張の開発体験比較
実際に両方を使ってみた感想を比較してみます。
Xcodeの強み
- 統合開発環境: プロジェクト管理からビルド、デバッグまで一貫した体験
- Interface Builder: ストーリーボードでのUI設計
- Simulator統合: iOSシミュレータとの完璧な連携
- Apple公式サポート: 最新のSwift機能への対応が早い
Cursor+Swift拡張の強み
- 軽量: Xcodeよりもはるかに軽快に動作
- カスタマイズ性: 豊富な拡張で自分好みにカスタマイズ可能
- AI機能: CursorのAI支援コーディング機能が使える
- マルチプラットフォーム: macOS以外でもSwiftコードの編集が可能
実際の使用感
僕が実際に使ってみた感想としては、以下の通りです:
良い点:
- Cursorの軽快さでSwiftコードが書ける
- AI補完がSwiftコードでも結構使える
- GitHubとの連携が簡単
注意点:
- ビルドやデバッグは別途ターミナルやXcodeが必要
- Interface Builderは使えない
- 一部のXcode固有の機能は利用できない
手動インストールする際の注意点
手動でインストールする際に気をつけるべきポイントがいくつかあります。
バージョン管理
- 手動インストールした拡張は自動更新されない
- 定期的に最新版をチェックしてアップデートする必要がある
- GitHubのReleasesページを定期的に確認することをおすすめします
依存関係の確認
- Swift拡張にはSwiftツールチェーンが必要
- XcodeまたはSwift公式サイトからSwiftをインストールしておく
swift --version
でインストールされているか確認
パフォーマンス
- 大きなSwiftプロジェクトでは動作が重くなる場合がある
- Language Serverの設定を調整することで改善可能
- 必要に応じてメモリ使用量を監視
トラブルシューティング
実際に手動インストールを行う際によくある問題と解決方法です。
ビルドエラーが出る場合
# Node.jsのバージョンが古い場合はアップデート
npm install -g npm@latest
# キャッシュをクリア
npm cache clean --force
拡張が認識されない場合
- Cursorを完全に再起動
- 拡張機能パネルで有効化されているか確認
- 設定で「swift.path」が正しく設定されているか確認
Language Serverが動作しない場合
- Swiftツールチェーンが正しくインストールされているか確認
- プロジェクトルートに
Package.swift
があるか確認 - 出力パネルでエラーメッセージを確認
まとめ
CursorでSwift拡張を手動インストールするのは少し手間がかかりますが、一度設定してしまえばXcodeに負けない開発体験が得られます。
特に、CursorのAI機能を活用したSwift開発は新鮮で、コード補完やリファクタリングの提案がとても便利です。
完全にXcodeを置き換えることは難しいですが、コードエディタとしてのCursorは十分に実用的だと感じました。Swift開発でもっと軽快なエディタを使いたい方は、ぜひ試してみてください。
手動インストールの手順は公式ドキュメントで詳しく解説されているので、困った時はそちらも参考にしてみてください。